『痛快!ビッグダディ』という番組を覚えているでしょうか。かなり癖のある頑固親父、通称ビッグダディが率いる子沢山の大家族を追ったドキュメンタリー(モキュメンタリー?)で、様々な意味で話題になり、ネット界隈ではいまだにネタにされることも多い怪作。
私が最も印象に残っているのは番組初期の一幕。ビッグダディは鹿児島だか沖縄だかの離島に一家で引っ越して整骨院を開くのですが、子沢山のこともあり、仕事場と生活スペースがごちゃごちゃ。患者さんが来ても施術台の上には家族の洗濯物が山積み。それをビッグダディが文句を垂れつつ放り投げてどける。
このシーンを見た時、まだ整体で食っていこうなんて考えもしていなかったけど「ああ、こんな治療院には絶対行きたくないなぁ」と非常に強く感じました。
あまりにこのシーンの印象が強すぎて、何であれ施術台の上に物を置きっぱなしにするのは個人的に絶対禁忌。療術家における施術台は、俳優や芸人にとっての舞台、寿司職人にとっての付け場、料理人にとっての板場、証券マンにとっての場立ち(はもう廃止されたけど)、国会議員にとっての料亭密会(?)と同じ。すべてを賭けて勝負を行う場であり、神聖かつ不可侵な聖域。
案の定ビッグダディの整骨院はあっという間に傾いて島からも撤退。その後も店を出したり雇われたりしたけど長続きせず。せっかく大枚はたいて国家資格を取ったのにねぇ。昔は柔道整復師といえば『機械の支払いが終わればキャデラックでもベンツでも乗り放題』とか言われてたのに、やっぱりどんな仕事にも向き不向きってのがあるんだねぇ。
とかなんとか偉そうなことを言いながら、当院の施術室には懸垂台だのダンベルだのの筋トレグッズや様々な楽器類が置かれ、聖域である施術台の下には筋トレ用のインクラインベンチが収納されていたりして……まぁ、そこはそれ、ここはビッグダディの有名な台詞をお借りして逃げの一手としましょう(笑)
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