かつてバラエティ番組などで活躍していた芸人のエスパー伊東氏の消息が最近話題になりました。
2018年に右股関節の変形性股関節症を発症。翌年に人工股関節置換手術を受けるも歩行困難に。それだけではなく重度の脳梗塞、認知症も発症。現在は半分寝たきりで歩行や食事に介助が必要な状態に。会話の受け答えもおぼつかなくなり61歳で介護施設に入所しているとのこと。
変形性股関節症は、生まれつき(先天性)の骨盤や大腿骨の形状によって発症することが多く、また患者の大多数が女性です。これは骨格の男女差に起因します。女性の方が股関節の被りが浅いのです。
脅かすわけではありませんが「私、生まれつき身体が柔らかいの」と、特に練習せずとも180度開脚やY字バランスが出来てしまう女性は骨格的に股関節症の予備軍とも言えるのです。おそらくエスパー伊東氏も(男性ではありますが)股関節の可動域が広い骨格をしていたのではないでしょうか。だからこそ小さなボストンバッグに身体をねじ込む『カバン芸』ができたのでしょう。
そしてもう一つ。これも推測ですが、エスパー伊東氏の変股症発症が五十代半ば。加齢による筋力低下が顕著になる年代です。それまで周辺の筋肉でなんとか頑張ってきた股関節が、ついにその支えを失った可能性は大です。
私の嫁さんも先天性股関節症で十数年前に両足を手術しています。人工股関節置換ではなく、骨切り術という自分の骨を切り貼りして股関節を調整する術式でした。
手術自体は成功でしたが、やはり術後は歩行困難に。術後しばらくは痛みで歩けず、杖を使わず歩けるようになるまで数年かかりました。今思い返すと、その大きな原因の一つは筋力筋量の不足。嫁さんもエスパー伊東氏と同じく(?)身体が小さく、細身でしたので。それに加えて骨切り術による手術は術後数週間寝たきりの期間があります。そのため筋肉がさらに落ちて……と。この手の知識が豊富になった今なら色々と打つ手も思いつくし、対応もできますが、当時は夫婦ともに何年も地獄を見ました。
現在、嫁さんは「昔のことは忘れた」とケラケラ笑って毎日走り回り、呑気な怠け者の私の尻を蹴り飛ばしています。どうぞご心配なく。それに、あの当時「嫁さんを楽にしたい」一心から整体術を学ぶことになり、それが『整体師あしたか院長』を作ったのですから、人生何がどう転ぶかわからんものです。
話を戻すと、股関節周り(足腰)の筋肉はぜひ日頃から鍛えておきましょう。骨格的に変形性股関節症予備軍の方でも、筋肉がしっかりしていれば発症に至らずに生涯自分の骨で歩ける方も少なくないんですよ。
ともあれ「芸とは身を削り、命を削ってこそ……」と、エスパー伊東氏が思っていたかどうかはわかりませんが、どんなに痛くても自らの代名詞であり十八番でもあった『カバン芸』を止めるわけにはいかなかったのでしょう。なんとも切ないことです。
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