「夜中によく足が攣るんですけど……」
「ミネラルと水分の不足ですね。お塩と水をしっかり摂ってください」
「でも、高血圧が……お医者さんに言われてて……」
今年も患者さんとこんな会話をする季節がやってきました。こむら返りに限らず、夏場の様々な体調不良の大きな原因のひとつに『塩分の摂取不足』があると私は考えています。
現在では塩分と高血圧の間には巷で思われているほど深い因果関係はないと複数の研究で証明されています。にも関わらず今だに『減塩』を強要する我が国の医療機関。これは『減塩』が一大ビジネス(スーパーの棚を見て回って『減塩』の文字を探してみてください)になってしまっていることと無関係ではないでしょう。
さて、ここで皆さんに知ってほしいのが『塩抜きの刑』という江戸時代に行われていた拷問です。これは文字通り食事から一切の塩分を抜くというもの。皆さんが想像する以上に過酷だったようで、塩抜きを受けた囚人はみるみる精気を失い、身体に不調をきたし、命を落とすことも珍しくなかったとか。なお塩抜きの刑によって表れる肉体の変調のひとつに『筋肉の痙攣』も含まれています。知ってますか? こむら返りって脹脛の筋肉の痙攣なんですよ。
こむら返りを起こすほど熱心に減塩をされる方は非常に真面目なので、私が「塩分を摂りましょう」と言ってもなかなか首を縦に振ってくれません。市井の怪しい整体師よりも、免状持ちの立派なお医者さまを信じるのも当然なのかな。
減塩を一切止めろとまでは言いません。せめて発汗によってミネラル不足に陥りやすい夏の間だけでも塩分を普段より少し余計に摂取してもらえると、夜中の突然のこむら返りに苦しまずに済むんですけどねぇ。就寝前に塩分タブレットをひとつ、そしてお水をコップ一杯。それだけでも全く違いますよ。
今年も当院では待合スペースの広口瓶に塩分タブレットを用意しました。どうぞ遠慮なく手を伸ばしてくださいね。
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