『アップライトロー』というトレーニング種目があります。身体の前にバーベルやダンベルを下げ持ち、これを肘から引き上げるようにして肩の筋肉を鍛えるメニュー。
これが非常に評判の悪い種目で、ネットでちょっと検索すると上にあげたような「止めといた方がいいよ」って動画や文章が山ほど出てきます。もちろん私も知ってはいたのですが「高重量を扱うわけでもなし、それほど追い込むわけでもなし、まぁ大丈夫だろ」と。
んで、今日もジムでアップライトローを行っていたのですが、2セット目の終盤で右手首から「コキッ」と小さな音、と同時に違和感と痛み。やってしまいました。
これまで肩関節と肘関節には何の問題も感じていなかったのですが、手首の角度に少し不安があったので、EZバーというW字に曲がった特殊なバーベルを使っていたのですが、やはりダメでした。
すぐに自己診断。手関節及び橈尺関節に大きなズレ(亜脱臼)。手関節が尺屈方向に大きな荷重がかかったせい。手首の全体的な可動域制限、背屈時に強い痛み。施術時によく見るパターン。「なるほど、こうやってズレるのね」と感心しつつ、すぐに左手で右手首を握り、押して引いて捻ってクニクニのゴニョゴニョっとやって……「パチン」と整復完了。
「センセは痛い時に自分で治せるんですか?」と聞かれた時には「自分で自分を治すなんて神様にしか無理」と答えていますが、こういう末端部に関しては例外。
ちなみに、この種の受傷が多いのは圧倒的に女性です。といっても、当院にかかる女性が皆アップライトローをしているわけではありませんよ。
女性が重量物を持つ際にアップライトローと同じ『肘から引き上げる動作』をやりがちだからです。肘から引き上げると肩の大きな筋肉を動員できるので、腕の力だけだと持ち上げるのに苦労する重さも扱うことができるのです(意外に思われるかもしれませんが、三角筋という肩の筋肉は上半身で最も大きいのです)。
しかし、この動作は人体にとってある意味不自然でもあるので、私の場合のように手首を痛めたり、ある方は肘をやっちゃったり、ある方は腕が上がらなくなったり。
「そこまで分かってるのに、何でお前はそんな危険な種目をやったんだ」と言われちゃうと二の句が継げません。いやお恥ずかしい。
とりあえず私は自分で整復できましたが、皆さんはそうもいかないので異常を感じたら早め早めにご連絡ください。こと手首のトラブルは時間が経つほどに悪化する場合がほとんど。電話やLINEでとりあえずの相談だけもお受けしますのでお気軽に。
あと、もうひとつ付け加えておくと、小さなお子さんのいらっしゃるお母様にこの種のトラブルが多いんです。片手でチビちゃんを抱きつつ、片手でさまざまな家事をこなすとなると、やはり無理をして肘から引き上げるような動作を多用してしまい……ってケース。余計なお世話かもしれませんが、どうぞ旦那様は積極的にお手伝いをして、労ってあげてくださいね。
幸いなことに痛みは引いたので、先日も当ブログでご紹介した2時間おきの20分アイシングで念のためのケア中。んで、来週からはアップライトローをきっぱり止めてケーブル・フェイスプルに種目を変更します(汗
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