一昨日、NHK総合にて『東洋医学ホントのチカラ』という番組が放送されました。この番組中の『冷やす?温める?ケガの最新ケア』なるコーナー。
曰く、スポーツ選手の中には「早く治すためにアイシングをしない」という方や、お灸や体を温める効果のある漢方薬を使う方も増えている。
曰く、アメリカのスポーツ界でもアイシングを取り入れた応急処置である『RICE処置』を見直す動きがある。
曰く、大学におけるマウスを使った実験でもアイシングによる血流の低下が筋肉の回復を遅らせるという結果が出ている。
以上の内容を、大げさな効果音とBGM、やたら大声を張り上げてビックリする司会者、なんでも感心しまくる芸能人や元アスリートのパネラーが紹介。
一応、これでも現場に立つ者として、様々な痛みと向き合っている者として、あえて言わせてください。
「この番組作った奴、バッカじゃなかろか!」
確かに症状によっては「温めると治りが早い」ケースも少なくありません。回復までの時間が勝負の分かれ目ともなりうるアスリートにとっては、多少の痛みには目をつぶってそちらを選択することもあるでしょう。
しかし、それによって回復までの時間を劇的に短縮できるとかいえば、そうはなりません。復帰まで1週間かかる負傷が半日で治ったりは絶対にしません。その程度のメリットのために、痛みが強くなる危険を冒してまで一般の患者さんに適用するほどのこととは私には思えません。
またアメリカでの『RICE処置』への見直しですが、よく調べてみれば「冷やさない、冷やすのを止めた」と言っているのではなく、これまで受傷後48〜72時間までとされていたアイシング処置の時間が大幅に短縮されたという話。
そして大学での実験にしても、この実験を行った准教授自身が「冷やすことが回復を遅らせる“かもしれない”。温めることが回復を早める“かもしれない”」と“かもしれない”を連発して(少なくとも3回は言っていた)コメントしていました。きっとこの先生は「実験結果と臨床の現場は別なんだけど、変な風に番組で使われたら嫌だな」と思って、あえて予防線としてのコメントだったのでしょう。しかし番組では杞憂の通りに。いやはやお気の毒。
センセーショナルに「冷やすのは間違いだった。これからは温める!」とやりたいばっかりに『詭弁、大げさ、紛らわしい』をこれでもかと詰め込んだ内容。アリバイ作りの言い訳のためか、コーナーの最後にちょろっと「急性痛は冷やす」ってやったって、ここまで見てきた人の頭に残るもんか、バカ!
「そうか、痛い時は温めればいいんだ!」と、なんでもかんでも温めるおバカさ……ウッカリさんを全国で量産したのは間違いないでしょう。
急性期になんでもかんでも温めると、症状によっては痛みが強くなったり、青あざが大きくなったりして、その結果として逆に回復が遅くなることも珍しくありません。痛めた筋肉や靭帯が温められ緩むことによって患部にさらなる支障が出たり、別の筋肉や関節にトラブルがでることも。そういった二次災害的な事故を引き起こす危険性のある内容だったってこと。
この番組はこのコーナー以外にも問題とされるであろう内容が多々あり、きっと各所から怒涛の総ツッコミが入ってると思います。一緒に見てた嫁さんは「で、これIKKOさんはいつ青汁飲むの?」と。その手の胡散臭い通販インフォマーシャル番組とあまりにも番組の作りや匂いが似通っています。
いやはや、天下の公共放送がこんな犬の糞にも劣る番組をゴールデンタイムに垂れ流すもんじゃありませんやな。
0 件のコメント:
コメントを投稿