2025年4月2日水曜日

足の爪、自分でお手入れできますか?

 

「全身の各関節、特に股関節は一日一回でもいいから動く範囲いっぱいいっぱいに動かしてあげましょう」

 言い続けて10年以上。すっかり院長の口癖になっていますが、これが出来ているかどうか簡単に確認する方法があります。

 足の爪、自分でお手入れできますか? 問題なく爪切りが使えますか?

 日常的に股関節をしっかり動かしていないと、いつの間にか股関節が固くなり、気がつけば足先を抱え込んで爪切りを当てることが出来なくなるんです。

 結果、丁寧に爪切りを使えないせいでガサガサのザクザクの爪先になったり、伸びすぎて巻き爪気味だったり、放置の末に爪水虫になっていたり。

 毎年、夏の間は素足で来院される患者さんも多く、そんな爪先の方を大勢見て来ました。そして、足先の手入れが出来ていない皆さんに共通しているのはやっぱり『股関節の固さ』なのです。

 実はこれって実体験にも基づいた教訓でもあるんです。ほんの5〜6年前、ふと気付くと自分の爪先に爪切りが当てられなくなっていたり、和式トイレでしゃがめなくなっていたりして愕然。もともと股関節は固めではあったものの、一般の人よりも身体は使っていると自負はあった自分がこのザマとは。

 別に毎日何十分も念入りにストレッチをせよってわけじゃありません。気がついた時にグリグリと足を上げたり回したり、ももやふくらはぎの筋を伸ばしたり、しっかりと腰を落としたヤンキー座り(うんこ座り)を30秒ほど続けてみたり。そんなことを続けるだけでも可動域の回復改善には十分に役立ちますよ。

 あなたの股関節は大丈夫ですか? 試しに足の爪切り、自分でやってみてくださいね。

2025年3月26日水曜日

肘は硬くて頑丈……のはず?


  肘は人体において踵についで硬く頑丈な部位のひとつとも言われ、多くの武術格闘技においても効果的な打撃部位として使用されます。上画像はそのひとつ、八極拳の裡門頂肘。懐かしい。流行ったよねぇ、バーチャファイターw

「肘鉄を食らわす」ってのも、非力な女性であっても肘部を使えば大の男にダメージを与えられるってのが転じての言い回し。

 さて、日本古武術の流れを汲む当院の整体術においても「大きくて重くて静かな力」を患者さんの骨(関節)に伝えるために肘部を使うのですが……院長、その大事な肘を痛めてしまいました。

 正確に言うと痛めたのは「肘の皮膚」なんですけどね。「最近なんか痒いな」と思ったら肘に肌荒れ湿疹が!?

「右ひじ左ひじ交互に見て〜」なんてリズムネタが昔流行りましたが、自分の肘なんてそうそう視認するもんじゃないから気がつきませんでした。

 院長は顔に似合わずお肌が弱く、洗濯洗剤や柔軟剤、芳香剤の種類によっては、それを使った衣服に触れただけで手荒れ肌荒れを起こすので、施術で患者さんに触れる際には手拭いを掛けて、その上から接触ってのを開院当初から習慣にしていたのですが、肘についてはノーマークだったし、これまで問題もなかったのですが……。

 おそらくは(私にとって)刺激の強い、触っちゃいけない類の洗剤(柔軟剤?)がまた増えたのでしょう。難儀なことです。

 肘の皮膚も恥知らずな面の皮と同じくらい厚ければ良かったのにねぇ。

2025年3月16日日曜日

テレビ健康番組の終焉


 

 先日、みのもんたさんがお亡くなりになって、ひとつの時代の終焉を感じる院長です。みのさんには苦労させられましたから。

 とはいえ直接に面識があるわけではなく、当然ながらテレビを通して。彼のやっていたお昼の番組の健康情報コーナー。あれで腰痛肩こり関連のネタをやると、その後は患者さんに質問攻め。まだ駆け出しだった私は満足に(っていうか患者さんが満足する)回答ができずにオロオロして頭を抱えることも。

 今なら「テレビで言ってる症状と、患者さんの痛み方は違うでしょ。気にする必要なし」なり「あんなもん何百万人に一人がかかるような珍しい難病で関係ないですよ」なり「あんなん信じる方がバカ」なり、必要ならズバズバ斬って捨てます。それを言えるだけの経験知識と信用信頼は勝ち得ていると自負してますから。

 当時は『おもいっきりテレビ』の他にも『たけしのブラックホスピタル』とか『あるある大辞典』とか『名医のナンチャラ』とか、やたら健康不安を煽り立てるような番組が多かったんです。そのほとんどが今じゃ倫理的コンプラ的に許されない内容ばかり。

 番組放送翌日の施術では患者さんから何かしらの質問が出るのはお約束でしたから、トピックに関する知識を調べ、自分なりのファクトチェックを行い……ある意味では鍛えられました。ほとんどが反面教師で「医療って、マスコミって、こうやって世の中の人を騙すんだ」と勉強になりましたよ。

 現在では健康番組自体も少なくなり『健康カプセル』と『トリセツショー』くらいかな。一応は欠かさず見ていますが患者さんとの間で話題に上がることは少ないかなぁ。それに代わって質問されることが多くなったのが平日昼間の通販番組で取り扱ってる運動器具やサプリについて。世代によってはいまだ影響力は絶大のようです。テレビというメディア自体の終焉にはまだまだ時間がかかりそうですね。

2025年3月12日水曜日

メメント・モリ

災難にあう時節には、災難にてあうがよく候。
死ぬる時節には、 死ぬがよく候。 
是はこれ、 災難をのがるる妙法にて候。

良寛


世の中は起きて箱して寝て食って
後は死ぬるのを待つばかりなり

一休


されば未だ万歳の人身を受けたりという事を聞かず。
一生過ぎ易し。
今に至りて、誰か百年の形体を保つべきや。
我や先、人や先、今日とも知らず、明日とも知らず、
おくれ先だつ人は、本の雫・末の露よりも繁しといえり。
されば、朝には紅顔ありて、夕には白骨となれる身なり。

蓮如『白骨の御文章』


死期はついでを待たず。
死は前よりしも来たらず、かねてうしろに迫れり。
人皆死ある事を知りて、待つこと、
しかも急ならざるに、覚えずして来たる。
沖の干潟遥かなれども、磯より潮の満つるがごとし。

吉田兼好『徒然草』


今までは 人のことだと 思ふたに
俺が死ぬとは こいつはたまらん

大田南畝


散りぬべき 時知りてこそ 世の中の
花も花なれ 人も人なれ

細川ガラシャ


朝に死し、夕べに生るるならひ、
ただ水の泡にぞ似たりける。
知らず、生れ死ぬる人、
いづかたより来りて、いづかたへか去る。
又知らず、仮のやどり、誰が為に心を悩まし、
何によりてか目をよろこばしむる。

鴨長明『方丈記』


祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり。
沙羅双樹の花の色、盛者必衰の理をあらはす。
驕れる人も久しからず、ただ春の夜の夢のごとし。
猛き者もつひにはほろびぬ、ひとへに風の前の塵に同じ。

『平家物語』






2025年3月8日土曜日

湿布に保険適用の価値なし


  高額医療費制度について政府の対応が二転三転して呆れ果てている方も多いと思います。我らがボンクラ総理はなんでああも変な方向にばかり思い切りがいいんでしょうね。

 どうせ思い切るなら湿布や軟膏、鎮痛剤や胃腸薬なんかのドラッグストアへ行っても買える命に関係ない医薬品類をバッサリ保険適用から除外すればいいのに。

 そもそも湿布なんて『メリケン粉を水で溶いてガーゼに塗りたくり、それを患部に貼り付ければヒヤッとして気持ちよく痛みが散った……ような気がする』てな大昔からさほど効果は変わってません。冷湿布のスースーヒヤヒヤするのは大体がメントール(ハッカ)、あったかくなった気がする温湿布はカプサイシン(唐辛子)。私に言わせれば九割方はブラシーボ。

 昨今では貰う方も効かないのわかってるから使いもしない。老人の薬棚には未開封の湿布が山ほど貯まることになる。じゃどうして貰うのか? 無料同然だから。これほど馬鹿げた税金の使い方はないでしょう。

 現在ではどこのご家庭にも冷蔵庫があり、冷凍室を開ければ氷が出来てるんだから、それで患部をアイシングをした方が炎症による急性痛には湿布よりもはるかに効果的。逆に慢性痛を温めたければ使い捨てカイロを肌着の上から患部にあてた方がよほどマシ。

 いずれも凍傷や低温火傷の危険性はあるものの、それを注意喚起、指導できずしてなにが医師免許持ちの先生様かと。効きもしない膏薬をいつまでも高値で売っておいて、なにが命を守る製薬メーカーだと。

 「OTC(市販薬)類似薬の保険給付の見直し」として動いてはいるようですが、どう考えても思い切ってザックリとメスを入れるならこちらが先でしょう。

 当院は保険診療制度がどうなろうが商売に関係はない代替医療の民間施術だし、別に湿布に親を殺されたわけでもないですが、効きもしない湿布をベタベタ貼って、ハッカの臭いを全身からさせつつウンウン唸りながら来院される患者さんを山ほど診てますからねぇ。

2025年3月1日土曜日

タバコと腰椎圧迫骨折

 


「ぎっくり腰になっちゃって」という患者さんからタバコの臭いがすると「腰椎圧迫骨折ではありませんように」と祈りながら触診を始めます。

 これまでに私が診た圧迫骨折の方は必ずと言っていいほどタバコの臭いをさせていました。

 喫煙はカルシウムやビタミンDの吸収を阻害し、引き起こされる低酸素症状は骨の成長や修復を妨げる可能性があるとされています。

 これね、あまり甘く見ない方がいいですよ。私の体感としては、圧迫骨折まで行かずとも膝や股関節、頚椎、手足の指などに骨の変形が起きている方は圧倒的に喫煙者の方が多い印象です。

 ちなみに圧迫骨折になってしまうと整体術ではなす術はありません。病院へ行ったところで基本的には同じ。日常生活に支障が出る場合は入院を勧められることもあるようですが、それでも特別な治療をするのではなく、ひたすら安静にして骨がくっつくのを待つだけ。全治約3ヶ月といったところでしょうか。

 百害あって一利なし。止められるもんなら止めた方が健康にはいいんですが、それが難しいのも良く知ってますからねぇ。私自身も20年ほど前まではヘビースモーカーでしたから。

 現在喫煙されている方はできるだけの節煙、そして気休めかもしれませんがカルシウムをしっかり摂取するように心がけてください。

 そして最後にお若い方に忠告。タバコはファッション感覚で手を出すもんじゃないですよ。札束を燃やすような高コストで煙を吸い続けた結果、30年後40年後に残るのはドブのような口臭と茶色く汚れた歯、そして脆い骨と肺ガンのリスクですからね。余計なお世話かもしれませんが、よくよく考えて。

2025年2月27日木曜日

ハンドパワー?


 「先生の手ってすっごい温かいですよねぇ」とよく言われます。「これが気功ですか?」と。

 そこで「そうなんです。これが我が国で密かに伝承されてきた霊験あらたかな気功術です!」と滔々と立板に水……とはならず「ん、まぁ、そんなもんですかねぇ」とゴニョゴニョ。

 こーいうのは油断すると尾鰭が付いてオカルトやスピリチュアルまがいの噂になるから嫌なんですよ。「七色のオーラの出し方」や「気功弾の撃ち方」や「不動金縛り術や空気投げのやり方」を質問してくる方もいらっしゃるんで。冗談みたいだけど、これホントに。念のために言っとくと、院長はそーいうの一切出来ませんからね。どちらかというと物理と質量で直接ぶん殴る方が好きです。

 患者の皆様におかれましては、院長の手がどれだけ温かくても、そういうもんだと流していただき、施術中に院長が手印を切ったりしてても『なんかおまじないの一種』くらいに思っていただければ幸いです。

「だったら屋号から『気功』の二文字を外せばいいのに」とお思い方もいらっしゃるかもしれませんが、この胡散臭い屋号(!)のおかげで冷やかしの一見さんの足を遠ざけ、本当に私の施術技法を信頼してくださる方に集中できるのでねぇ。