2019年4月12日金曜日

蕁麻疹と孫の手

十一年目の春はおかげさまで商売繁盛。客足順調でまずまずの忙しさ。しかしまた好事魔多し。「ちょっと身体がキツいな、これは来るかな?」と思っていたら案の定。

 持病(?)の蕁麻疹が発症。私は疲れたり、ストレスが溜まったりすると覿面にお肌に出るのです。全身のあちこちに特大の蚊刺されのようなミミズ腫れ。掻きむしると余計に痒くなり、腫れの熱感で頭までボーッとしてくる始末。

 さっさと病院に行って抗ヒスタミン薬を処方してもらえば楽になるのだけど、施術予約があって、すぐにその時間も取れない。

 なんとか辛抱して業務を終えた発症2日目の晩、ベッドにひっくり返って背中をかきむしる。ありがたいことに私は人並み以上に肩関節が柔らかく、自分の背中で手が届かない場所はない。手を後ろに回してバリバリボリボリやっていると、右の肩先から「グチッ」というイヤァ〜な音。一瞬遅れて襲ってくる激痛。

 悲鳴を上げてのたうちまわる私に驚き、隣で寝ていた嫁さんが飛び起きる。

「どうしたのっ?」
「うぐぐ、痛え……背中掻いてたら肩が外れた」
「ハァ? バッカみたい。それでも整体師なの!?」

「さて、この件から私と、
そして皆さんが得られる教訓は……
孫の手を使え!
(C.V.貝木泥舟)

 人間の肩関節の可動域は非常に広いのですが、だからと言ってその全てが有効だとは限限りません。人間の腕がその力を100%発揮できるのは、体の正面のごく限られたエリアのみ。側面や背中側に手を回せるからと言って、そこで十分な力を出せる訳ではないのです。

 当院に肩のトラブルでいらっしゃる患者さんのおおよそ半数以上の原因はここにあります。クルマの運転席に座ったまま後部座席の荷物を出し入れする。片手にお子さんを抱えたまま、逆の手だけで家事を行おうとする。狭いスペースに潜り込んで機械の整備をする方にもこういった症状が良く出るようです。

 それを治療する側の私が同じ轍を踏んでしまうとは。いやはや情けない。

以下余談

 さて、私は外れた肩をどうしたか? 救急車を呼んだ? いえいえ、それじゃ整体師の名折れとなってしまいます。脂汗を流しながらも自分で肩関節を調整して上腕骨頭を正常な位置に戻すと、すかさずアイシング。脱臼は受傷後どれだけ早く処置できるかで回復速度が変わってきます。これでもプロですから、その点は抜かりはありません。すでに痛みも引いて現在では問題なく施術できております。どうぞご心配なく。念のため。

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