2018年4月2日月曜日

The youngest day of my life

 当院の患者さんの中で最高齢は九十代半ばの女性。昨年、パタリと姿を見せなくなって「お身体でも悪いのかしら? それとも、もしかして……」とひそかに心配していたところ、先日久しぶりに来院されました。

 曰く、転倒して大腿骨を骨折。長いこと入院していたのだと聞いてビックリ。御高齢の方にとっては命取りともなる大怪我です。

 しかし、その方はニコニコと「運が良くて綺麗に折れたんで、継ぐのも上手に出来たんですって」と悲壮感はゼロ。「それでも、ボーッとしてるとボケるっていうでしょ。だから裏が白い広告チラシを沢山持ってきてもらって、ずーっと書き物をしたり折り紙作ったりしてたの。ボケ退治には手を動かすのが良いんでしょ?」

 私の施術を受けながら「あぁ、気持ちいい」とご満悦。下腿部の筋肉は若干痩せてはいるものの、筋の張りはしっかりしており、リハビリに励まれた成果が現れています。

「厚かましいかもしれないけどねぇ、私はもう少し自分の足で歩きたいの」

 すかさず付き添いの娘さんが「またそれを! そういうのは『厚かましい』なんて言わないのよ」とピシャリ。「あら、また怒られちゃった」と悪戯っぽい笑顔。

「それでね、こないだ新聞の広告で『死ぬまで歩けるスクワット』って本を見つけたの。(娘さんの方を向いて)ねぇ、あれ買ってきてね」

「スクワットのやり方なら私が教えてあげるのに」と娘さんが答えると「ううん、違うの。やり方を知りたいだけじゃなくて、その御本が読んで見たいの。だからお願い」と。

 いやはや、常々お元気なご長寿だとは思っていたけれど、改めてこの御婦人の前向きで明るい姿勢に感服。深く感じ入りました。

「ああ、気持ちよかった。また来月連れてきてもらうわね。先生も眼をお大事に」と最後は私の身体の心配まで。院長、最敬礼でお見送りをしたのは言うまでもありません。

『人間、今が一番若い』とは誰の言葉だったか。その本当の意味を教えられたような気がします。

 織田信長ってガラでもないのに「人間五十年かぁ」と、もうすぐやってくる五十路を人生の終りのように心のどかで恐れていた何処ぞの整体院院長は心を入れ替え、性根を叩き直さなければならないなぁ、いやはやホントに。

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