2016年2月15日月曜日

世界一静かな捻挫? 〜足関節捻挫 その1

 昨夜、『世界の果てまでイッテQ』という番組のロケ中に出川哲朗さんが転んで捻挫をしたというシーンをテレビで見ました。噂には聞いていましたが実際に見るのは初めて。



 この時、出川さんが足を抱えてうずくまるのを見て日本人スタッフが大笑いしているのを、現地(アメリカかな?)のスタッフが「笑い事じゃないぞ! 捻挫なんだぞ!」と怒ったとのこと。

 さて、このシーン、私はてっきり出川さんが(演技として)転んでリアクションを取ることを前提にロケを進めていて事故が起こったのだろうと思っていましたが、さにあらず。野球の捕球シーンを撮ろうとして、後逸したまま放置していたボールに後ずさりしながら踏み乗って転倒というもの。想定外のアクシデント。

 出川さんはお得意のリアクションも出せず、だから「世界一静か」となったのでしょう。




 見ると足首が思いっきり内反して、そこに全体重がかかっています。非常に危険な転び方です。現地スタッフが「笑い事じゃない!」と怒るのも当たり前です。

 どうも日本人は捻挫を軽く見る傾向がありますが、これは大間違い。対処を誤ると一生痛みと苦しみを抱えて過ごさなくてはならなくなる危険な怪我なのです。それほどの重大事だと思ってください。

 当院にお見えなる患者さんの中には、実は古い足関節捻挫の後遺症のせいで腰痛や肩こりなどの症状が起きていたという方も少なくありません。

 足関節は地面(床)に一番近い関節です。人間は、この足関節の内部に地面の傾きや段差、硬い柔らかい滑りやすい等の足裏からの情報を感じるセンサーを持っています。捻挫の後遺症で足関節の動きが悪くなると、このセンサーの感度も鈍くなります。

 こうなると基礎部分が不安定な建物と同じ、結果として上へ上へと無理な力や歪みが上がっていくことになるのです。

 また、受傷直後に適切な処置を怠ると、何年も後になって、取り返しのつかない障害となって現れることもあります。

 これは初老の女性のケースですが、この方は20年ほど前に酷い内反捻挫を受傷しました。しかし「いつか治るだろう」と病院にもいかず終い。何年も痛いのを我慢して歩き回っていたとのこと。

 おそらく、この方は受傷時に靭帯が断裂していたのでしょう。距骨という足関節を構成する骨のひとつが徐々にズレて来てしまい、私が見せてもらった時には変形まで起こして足首がいびつになってしまっていました。

 もし、受傷直後に適切な応急処置をして、患部に無理をかけないようにギブスやテーピングで保護していたら、もっと違った結果になったのでしょうが……残念なことです。

「この足じゃもうパンプスは履けないねぇ」と悲しそうでしたが、こうなってしまうと完治させることは不可能なのです。

 どうか絶対に「たかが捻挫」などと軽く見ないでくださいね。

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