2015年9月11日金曜日

特効薬は“若さ”?


 人間の持つ治癒力について考察したベストセラーであるアンドルー・ワイルの『癒す心、治る力』はまた、アメリカの代替医療や民間療法の現状についても詳しく述べています。

 その中に、オステオパシー(骨格を調整することによって治癒をうながすアメリカ発祥の手技療法)の達人の話が出てきます。

 高齢になった達人は、以降は30歳未満の患者しか診ないと決めて、曰く「わたしはもうすぐ80歳だ。疲れ切るまで仕事をするわけにはいかんのだよ。若い人を診ていると、こっちも元気になる。若い人は治癒反応が強いからね」と。

 私はこれを読んでニヤリとしてしまいました。作中で語られているオステオパシーの技法や考え方などは流儀が違うのでよく分かりませんが、この一節だけは非常に共感できるからです。

 確かに若い人たちの回復力治癒力には度々驚かされます。当然ながら、その回復の度合いや速さも高齢の方とは段違いです。

 初見で「うわ、これは酷い」とひそかに眉をひそめる症状で「これ、一回じゃ難しいからできれば来週も来てね」と言い含めて帰したけれど、それっきり。

「うちの施術じゃ手に負えなかったのかなぁ?」と残念に思っていると、しばらくしてから「○○君から聞いて来ましたぁ! ここで整体やってもらって一回で治ったって!」とお友達や知り合いがやって来て「ウソぉ〜ん! あの状態から治ったの? いや、どうやって? っていうか俺の施術のおかげ? ホントにぃ!?」とビックリしてしまうこともしばしば。

 とはいえ、私自身は高齢の方の施術を断ったり、若者専門にするつもりはありません。現在、当院においでになっている最高齢は93歳の女性です。当たり前ながらどう施術をしても新品同様に戻ることはないし、すべての不調が解消されるはずはありません。“老い”に逆らうことは誰にもできないのですから。

 それでも「ああ気持ちよかった。すっきりした。これでまた畑に出られるよ。ありがとう」と、そんな言葉をいただく度に、この仕事を始めて良かったと思うし、これからも力及ばずながらも出来る限りを尽くそうと思うのです。

 108歳まで生き、死の直前まで創作を続けた彫刻家平櫛田中曰く『六十七十ははなたれこぞう おとこざかりは百から 百から わしもこれからこれから』なのです。この伝でいけば四十五十はまだまだ鼻垂れ小僧にも満たぬのですからね。

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