2014年1月12日日曜日

ヒートショックにご用心

「夜中にトイレに起きたり、朝起きる時にヒドい目眩(めまい)がするんです。今までこんなことなかったのに……それで心配になって……」

 この冬、そう訴えて来院される50歳〜60歳代の患者さんが少なからずいらっしゃいます。お身体を診せていただきつつ、お話を伺うと「寝室が寒い」や「汗かきで寝間着を着込みたくない」などなど。

 これは一般的に『ヒートショック』と呼ばれる症状の予兆です。

 少し難しい話をすると、人間の身体は常にその状態を一定にしようとする調整機能が働いています。難しい言葉では『ホメオタシス(恒常性)』といい、自身の生命活動を維持するために体温や血圧、血糖、免疫などを全自動で調整しているのです。

 さらに言うと、この自動調整機能には“夏モード”と“冬モード”があり、季節に応じて調整法を変えているのですが、今シーズンは気候の変化が急で『秋』がありませんでした。半袖で汗を拭き拭きしていたのが、翌日にはダウンジャケットを着込んだ方も多いのではありませんか?

 夏から一足飛びに冬になってしまったため、この体内の調整機能が上手に働いていない方が多いのです。

 それに加えて、この冬の寒さです。暖かいお布団の中と、冷え込んだ室内(あるいはトイレ)との温度差、脳と心臓が水平になっている横たわった状態から、立ち上がって脳が心臓より高い位置への変化。これらに上手く順応できないため、脳が貧血状態になり急激な目眩が起きてしまうのです。

 私から提案させていただく対応策は以下の通り。

1、寝室にエアコンが設置してあるのであれば、起床時間に合わせて入タイマーを。

2、寝間着を調整して、肩や首を冷やさないように。襟元にタオルを巻く。綿入り半纏を羽織ってお布団に入るなどして防寒を。
 なお、私自身も就寝時には必ず袖無しの羽毛半纏を着るようにしています。

3、トイレ暖房を検討する。便座ヒーターや、入室時だけスイッチが入る温風ヒーターなども販売されています。

 また、浴室もヒートショック症状が起こりやすい環境です。浴室と脱衣所の温度差、浴室内でも湯船の中と洗い場の温度差など危険が潜んでいます。それでなくとも浴室や脱衣所は湿気がこもるのを嫌って換気扇を付けっぱなしにしたり、小窓を開けたままにしているご家庭も多いのでは?

 ちなみにこれは私が実行している対応策ですが、換気扇を切って蛇口から湯を流したり、風呂の蓋を空けてしばらく追焚するなどして浴室を湯気で満たしてから入浴するようにしています。これだけでも入浴時の危険は軽減します。なにより浴室内が暖かければ、それだけ快適ですよ。

 このヒートショック症状は命にかかわる脳卒中や心筋梗塞の大きな原因のひとつにもなっています。起床時や入浴時に目眩やふらつきなどを感じている方は、ぜひとも軽く考えず、上記の対策を検討してみてください。

0 件のコメント: