【ご注意】
下記のオートバイでの転倒は本年2月の出来事です。
多数の方にご心配をおかけしました。
勘違いさせるような書き方をして申し訳ありません。

時速50kmで走行中、突然オートバイがコントロール不能になった。ハンドルは大きくブレて抑えが効かず、車体を捻らせるように蛇行し、私を振り落とさんばかり。
下り坂の片道1車線、左にはガードレールで、その向こうは崖。道は数十メートルの直線の後、右に大きくカーブしている。とてもこんな状況で曲がりきれるはずがない。かといって止まることもできない。バイクは身を捩りつつ左へ左へと寄って行く。ガードレールに激突して230kgの車体でサンドイッチにされるのは勘弁だ。
私が取れる行動はひとつだけ。バイクを立て直そうとする抵抗を一切止めた。
途端に左半身を凄まじい衝撃が襲った。路面に叩き付けられたのだ。受身を取る暇など微塵も無い。それでも無意識にしっかりと顎を引き、頭を打たなかったのはかつて武道で散々練習したおかげか。
バイクは私の股間から抜け出て、部品をまき散らしながら路面を滑って行く。私自身も滑走しながら不思議と冷静にその様を見ていた。

バイクも私もズタボロになったが、なんとか崖下に飛び出したり、ガードレールと衝突したりすることなく止まった。すぐに跳ね起きてバイクに駆け寄りエンジンを切る。ついで引き起こして路肩に寄せようとした時に、初めて自分の身体の異変に気付いた。

「……ありゃ? 左肩外れてるわ」
左腕がダランとしたまま上がらない。路面に叩き付けられたショックで左上腕骨頭が前に滑り出してしまったようだ。指は……動く、握れる。よし、神経の引き抜き損傷は起きてないな。転倒の興奮からか痛みを感じないのはアドレナリンのおかげ。ならば今のうちにとジャケットの下に手を入れ、骨を探り当てると強く押さえながら左腕を……振り回す!
『ゴキュッ!』と聞き慣れた音がして、脱臼していた肩関節が正常な位置に収まる。腕に力が戻ったことを確認すると、ふたたびオートバイに駆け寄った……。
*
駆けつけてくれたバイク仲間の助けを借りて事故処理を済ませた後、私はこの日二つ目の大きな過ちをしでかしてしまう。
仕事をしてしまったのだ。
「どんな事情があれ、予約を断るわけにはいかない」と、ええカッコしいは自分の悪い癖。痛みを堪えつつ荒い息で脂汗を流し、足を引きづりながらの施術。それがどんな結果を生むかは……。
本来、肩関節の脱臼は整復後最低でも48時間は要安静である。三角巾で腕を吊っておくのが望ましい。両上肢の重さは体重の約9%。私の場合は片腕3kg以上ある計算だ。つまり、普通に気を付け(下垂位)してるだけで肩周りの痛めた靭帯や筋肉を引っ張る拷問を受けているようなものなのだ。動かしたりすれば尚更。
受傷直後の処置を誤ると、かつての名横綱千代の富士のように脱臼癖に悩まされることにもなりかねない。
ナントカの不養生じゃないけど、予見できていたのに半年以上も苦しむとは、我ながらお馬鹿さんである。どうぞ皆様におかれましては、これを他山の石とせぬようご忠告申し上げる次第であります、ハイ。
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そうそう、最後にもうひとつ。バイクが操作不能になった原因はフロントタイヤの空気圧不足でした。バルブが劣化してひび割れが入っていたところに道路を横切る排水溝を乗り越えたショックで一気に空気が抜けてフロントが暴れ出した、と。
今振り返ってみれば、あの日、確かに操舵が鈍かったように思われます。ちょうど前後のサスペンションを新調した後の初試走だったので「だいぶ乗り味が変わったなぁ」と呑気に考えてましたが、相応の危険サインが出ていたのかも。
中古で購入した20年以上前のオートバイ、どこがどう壊れても不思議じゃないのだから、目配り気配りを怠った責任は自分にあります。これも骨身に沁みました……脱臼しただけに、ヨホホホホォ〜♪
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