2009年1月20日火曜日

四股立ち 〜その1

その昔、ある現代武道を修行していた時の話だ。

「わが流派は空手よりも優れている。その証拠に基本稽古から実戦的な突き方を教えているだろ。空手の四股立ちなんて、あんな立ち方でどうやって動ける?」

当時、その流派に夢中になっていた私は、黒帯を締めた先輩の言葉に疑いを持つことはなかった。その偉そうな態度までマネして少年部へ指導したりした。まさに悪しき体育会系の典型。受け売りだけで理解したつもりになっていた自分を思い出すだけで恥ずかしすぎて、いたたまれなくなる。

「あの時、鼻の穴おっぴろげて自慢タラタラ講釈したけど、アレね、間違いだったんだ。ウソ教えちゃった。すまぬッ! ごめんッ!! 申し訳ないッ!!!」と、できることなら当時の少年たちに謝りたいくらいだ。自分自身の頭と身体で四股立ちについて検証も実践もせずに、なにを語れるというのだ。

私が四股立ちの本当の意味に気付いたのは、寺西御宗家の下で関口流柔術の稽古を始めてからだ。私が御宗家に直接教えを受け、同門の方々にお相手していただけるのは月に一度あるかないか。普段は当然ながらひとり稽古。それも関口流柔術で『地下練り』と呼ばれる基本稽古がメインとなる。

地味でキツい稽古である『地下練り』。その基本姿勢が四股立ちなのだ。最初は腰を落とすこともままならなかった。腰や内股、ふくらはぎが悲鳴をあげた。それでも毎日続けた……と書くと、なんだかスポ根マンガの秘密特訓みたいだが、実際には仕事の合間に10回、鏡の前で15回、テレビを見ながら20回といったコマ切れ稽古。毎日続けたとしても西洋式のトレーニングのような体脂肪の燃焼や筋肥大といった効果は皆無に近いかな。

それでも、毎日のように自らの身体に問いかけながら同じ姿勢、同じ動作を繰り返していると、知らないうちに身体が変わってくる。意識が変わってくる。動きが変わってくる。次から次へと発見がある。気付きがある。そして、単調な稽古が楽しくなってくる。決して動作自体が上達したわけでもないし、相変わらず怠惰な5回10回のコマ切れ稽古ではあるが、それでもそれなり(それ以上の?)効果をあげているのだ。

そんな自らの体験を踏まえて、腰痛の患者さんには『四股立ち』や『四股スクワット』をおすすめしている。「毎日5回でも10回でもいいですよ。空いた時間にチョコチョコっとやるだけでもいいんですよ。続けるのにしんどくない程度でいいんですよ」と。

さて、ここまで読んで『四股』が身体にどのような効果をもたらし、具体的にはどのような動作を行えばいいのか興味を持った方には申し訳ないが、今夜はここまで。イジワル言うわけじゃないけど、四股の踏み方なんて何種類もあるモンじゃないし、効果については、これも私が長々と文章を綴るより、それぞれに実践し体感してもらった方が理解できると思うなぁ。


画像(左上)は、先日引退した静岡出身の力士片山の『角界一美しい』といわれた四股。(右)はCMよりキャプチャーした大女優、森光子さんのスクワット姿。御年88歳で毎日150回行われているとのこと。

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